この言葉は、人にとって、物質的なものだけでは不十分であり、精神的な充足が必要であるという意味でよく使われます。日本語でも「人はパンのみにて生きるにあらず」という表現で知られていますね。マタイ4:4、ルカ4:4が出典です。
> マタイ4:4マタイ4:4
英語(NIV)
Jesus answered, “It is written: ‘Man does not live on bread alone, but on every word that comes from the mouth of God.’ “
日本語(新改訳2017)
イエスは答えられた。「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばで生きる』と書いてある。」
> 解説解説
イエスがこの言葉を語ったのは、イエスが荒野で40日間過ごし、サタンから誘惑を受けた時でした。サタンの誘惑の一つは、「あなたが神の子なら、これらの石がパンになるように命じなさい」(マタイ4:3)というものでした。これに対する答えが上記の聖書箇所の言葉です。これは旧約聖書にある申命記の引用で、次のような内容です(申命記8:2~3)。
2 あなたの神、【主】がこの四十年の間、荒野であなたを歩ませられたすべての道を覚えていなければならない。それは、あなたを苦しめて、あなたを試し、あなたがその命令を守るかどうか、あなたの心のうちにあるものを知るためであった。
3 それで主はあなたを苦しめ、飢えさせて、あなたも知らず、あなたの父祖たちも知らなかったマナを食べさせてくださった。それは、人はパンだけで生きるのではなく、人は【主】の御口から出るすべてのことばで生きるということを、あなたに分からせるためであった。
ここで言う「マナ」とは、地表に降った霜のような食べ物で、神がイスラエルの民に与えてくださったパンだと言われています(出エジプト6:14~15)。マナは天から降ってきた食べ物で、自分で田畑を耕して得たものではなく、天から降ってきた食べ物です。このことは、食べ物も含め、すべてが神の恵みであり、神のことばに従うことですべての必要が満たされるという生き方のモデルを教えたものです。
また、この箇所から、神は人の心にあるものを知るために試練に与えるということがわかります。イエスが宣教の働きを開始する前に荒野で試練を受けたように、神はこれから用いようとする人に試練を与えることが示されています。
旧約聖書の詩篇33:6には、次のようなことばがあります。
6 【主】のことばによって 天は造られた。天の万象もすべて 御口の息吹によって。
この聖書箇所によると、宇宙の万物は神のことばによって造られたものです。万物には食べ物の材料になる動植物も含まれます。そういう意味でも、「人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばで生きる」ということばは真理なのです。
> 使用例使用例
Man cannot live by bread alone; a man cannot go on working every day of the week, with nothing else in front of him.
ー Cambridge Distionary (https://dictionary.cambridge.org/us/dictionary/english/man-cannot-live-by-bread-alone)
人はパンだけでは生きられない。人は、食べ物以外の何かを目的としないと、毎日毎日働き続けることはできない。
> 参考資料参考資料
- Got Questions, “What does it mean that man shall not live by bread alone (Deuteronomy 8:3)?” (https://www.gotquestions.org/man-shall-not-live-by-bread-alone.html)
- Dictionary.com, “Man shall not live by bread alone” (https://www.dictionary.com/browse/man-shall-not-live-by-bread-alone)