聖書が預言するこれからの世界(1)今はどういう時代か

聖書が預言するこれからの世界(1)今はどういう時代か

この「聖書が預言するこれからの世界」というシリーズでは、将来に関する聖書預言についてお話ししていきます。初回となる今回は、将来に関する預言を見る前に、聖書的に今はどういう時代なのかを確認します。

MEMO
同じ内容が、YouTubeにも動画としても公開されています。

はじめに

この先、日本は、世界はどうなってしまうのかと考えることはありませんか?

  • ロシアとウクライナの戦争は、第三次世界大戦につながるのだろうか。
  • これからの世界はどうなっていくのか。
  • そのような中で、自分はどのように生きていけばいいのか。

こうした疑問に答えてくれるのが「聖書の預言」です。

預言とは

聖書でいう「預言」は、一般に言う 「予言」とは少し違います。「予言」は、将来に起こることを言い当てることです。一方、「預言」は、神からことばを預かり、そのことばを伝えることです。そのため、預言は将来のことだけではなく、過去や現在に関するものもあります。

重要なのは、預言は人ではなく、神が語ったことばであり、実現が神によって保証されているという点にあります。

聖書は将来に関する預言で満ちている

聖書には、将来に起こることを告げた預言(予言)がたくさんあります(聖書の27%が預言1)。こうした預言にはすでに成就したものも多いですが、成就していないものもたくさんあります。そのようなまだ成就していない聖書の預言を学ぶことで、将来に何が起こるかを知ることができます。

今はどういう時代か

今回取り上げる聖書預言は、今という時代を理解するための預言です。

結論から言うと、聖書的には現在は「終末時代」に当たります。「終末時代」とは、今の世界の終わりとキリストの再臨が近付いている時代のことです。

今回は、終末時代が始まったことの「しるし」について語ったイエス・キリストの預言を見ていきます。その後、すでに一部が成就している終末預言を見ていき、今が終末時代であることを確認します。

I. 終末時代の始まりはいつか

この世界はいつ終わるのか?

「この世界はいつ終わるのか?」

核戦争や気候変動など、さまざまな「地球規模の危機」を聞くと、こう思うのではないでしょうか。この質問は、イエスの弟子たちの質問でもありました。

イエス・キリストの最初の弟子はすべてユダヤ人です。ユダヤ人が信じる旧約聖書では、いつか今の時代が終わり、メシア(救い主)が治める「メシア的王国」の時代が来ると預言されていました。このメシア的王国が始まる直前の時代が、「終わりの時代」と呼ばれる終末時代です。

弟子たちは、エルサレムの東にあるオリーブ山で、「この世界はいつ終わるのか?」という質問をイエスにぶつけます。この時にイエスが語った答えが「オリーブ山の説教」と呼ばれるものです。この説教はマタイの福音書24~25章とルカの福音書21章に記されています。

弟子たちの質問

マタイの福音書24:1~3で、イエスと弟子たちが次のような会話を交わしています。

1  イエスが宮を出て行かれると、弟子たちが近寄って来て、イエスに向かって宮の建物を指し示した。 
2  すると、イエスは弟子たちに言われた。「あなたがたはこれらの物すべてを見ているのですか。まことに、あなたがたに言います。ここで、どの石も崩されずに、ほかの石の上に残ることは決してありません。」 
3  イエスがオリーブ山で座っておられると、弟子たちがひそかにみもとに来て言った。「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのですか。あなたが来られ、世が終わる時のしるしは、どのようなものですか。」

弟子たちの質問は次のような内容です。

  1. エルサレムの神殿(「宮」)はいつ崩壊するのか(「いつ、そのようなことが起こるのですか」)
  2. キリストの再臨と世の終わりのしるしは何か(「あなたが来られ、世が終わる時のしるしは、どのようなものですか」)

1の質問に対する回答は、「過去に成就した聖書預言(1)エルサレム崩壊の預言」で解説しました。ここでは、2の質問に対するイエスの回答を取り上げます。

終末時代のしるしでないもの

弟子たちの質問に対して、イエスはまずマタイ24:4~6で次のように答えます。

4 そこでイエスは彼らに答えられた。「人に惑わされないように気をつけなさい。 5 わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わします。 6 また、戦争や戦争のうわさを聞くことになりますが、気をつけて、うろたえないようにしなさい。そういうことは必ず起こりますが、まだ終わりではありません。 

イエスは最初に、終末時代のしるし「ではない」ものを挙げます。

  • 偽キリストの登場
  • 戦争や戦争のうわさ

その次に挙げるのが、終末時代が始まったしるしです。

終末時代のしるし

イエスはマタイ24:7~8で次のように語っています。

民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、あちこちで飢饉と地震が起こります。 8  しかし、これらはすべて産みの苦しみの始まりなのです。

また、ルカ21:11で次のようにも語っています。

11  大きな地震があり、方々に飢饉や疫病が起こり、恐ろしい光景や天からの大きなしるしが現れます。 
以上をまとめると、イエスが終末時代が始まったしるしとして以下の3つを挙げています。

  1. 世界大戦(「民族は民族に、国は国に敵対し」)(マタイ24:7~8)
  2. 飢饉(マタイ24:7~8)
  3. 地震(マタイ24:7~8)
  4. 疫病(ルカ21:11)

以上のしるしについて、一つひとつ見ていきます。

1. 世界大戦

マタイ24:7の「民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり」とは、当時のユダヤ教ラビの用語で「世界大戦」を意味します。

たとえば、ユダヤ教の文献『ベレシート・ラッバ』では次のように言われています。

王国が王国に敵対し、次々に立ち上がるのを見たら、メシアの足音に耳を澄ませなさい。
― Arnold G. Fruchtenbaum, The Footsteps of the Messiah (Ariel Ministries, 2002), p.627

If you shall see the kingdoms rising against each other in turn, then give heed and note the footsteps of the Messiah (XLII:4).

ユダヤ教でも、世界大戦が起こればメシアが登場する時が近いと教えられていたことがわかります。

また、ユダヤ教神秘主義の注解書『ゾハール』でも、次のように言われています。

その時、世界には戦争が起こる。国は国に、町は町に敵対し、イスラエルの敵には多くの苦難が降りかかるであろう。
― Arnold G. Fruchtenbaum, The Footsteps of the Messiah (Ariel Ministries, 2002), p.626

At that time wars shall be stirred up in the world. Nation shall be against nation and city against city; much distress shall be renewed against the enemies of the Israelites.

「世界には戦争が起こる。国は国に、町は町に敵対し」と言われており、同様の「民族は民族に、国は国に敵対し」という表現が世界大戦を意味していることがわかります。

このしるしは、すでに現れています。ご存じのように、これまでに2度の世界大戦が行われています。

  • 第一次世界大戦(1914年~1918年)
  • 第二次世界大戦(1939年~1945年)

それまでには、全世界を巻き込んだ戦争というのはありませんでした。この2つの戦争により、今は終末時代であることがわかります。

2. 飢饉

世界大戦のしるしに呼応するように、第一次世界大戦の後、世界各地で以下のような大飢饉が起こっています。

  • 1914年~1918年:第一次世界大戦中、レバノン山地で飢饉が起き、レバノン人口の3分の1が死亡。
  • 1917年~1921年:ロシア革命の頃、トルキスタンで飢饉が続き、人口の6分の1が死亡。
  • 1921年:ロシアの飢饉で500万人が死亡。
  • 1928年~1929年:中国北部の飢饉で300万人が死亡。
  • 1932年~1933年:ウクライナの飢饉で260万人~1000万人が死亡。
  • 1932年~1933年:カザフスタンの飢饉で120万人~150万人が死亡。
  • 1936年:中国で飢饉。推定死者数は500万人。
  • 1941年~1944年:イタリア・ブルガリア・ドイツ軍の占領により、ギリシャで飢饉が発生。推定死者数は30万人。
  • 1942年~1943年:中国で飢饉。100万人が死亡。
  • 1943年:インドのベンガル飢饉。150万人~350万人が死亡。
  • 1946年~1947年:ソビエト飢饉。100万人~150万人が死亡。
  • 1959~1961年:中国の大躍進政策による大飢饉で1500万人~5500万人が死亡。(その後も、カンボジア、北朝鮮などで大飢饉が発生している)
3. 地震

20世紀には大地震も急増しています。以下は、1900年~2019年に世界で起きたマグネチュード6以上の地震の回数を10年単位でグラフにしたものです。

1900年~2019年に世界で起きたマグネチュード6以上の地震

出典:USGS(米国地質調査所)

多少の上がり下がりはあるものの、傾向としては確実に、しかも大幅に増加していることがわかります。このグラフから、次のようなことがわかります。

  • 1900年~1909年には68回だったが、第一次世界大戦のあった1910年~1919年には160回と2倍以上に跳ね上がっている。
  • 1900年~1909年(68回)と2010年~2019年(1495回)を比較すると実に20倍以上の増加となっている。
4. 疫病

マタイの福音書では言及されていませんが、ルカの福音書では「疫病」も終末時代のしるしとして挙げられています。実際に、第一次世界大戦末期に「スペイン風邪」が起きて猛威を振るいました。

  • 1918年~20年 スペイン風邪:世界人口(18億~19億)のおよそ27%にあたる5億人が感染。 死者数は5,000万~1億人以上[^2]
  • 2019年~現在 COVID-19(新型コロナウイルス):感染者数6億9千万人以上、死者数は689万人以上(2023年7月8日時点)[^3]

新型コロナウイルスについては、中国の武漢ウイルス研究所が人工的に作成したという説があります。ただ、人工にせよ、自然発生にせよ、大規模な疫病であることに変わりはありません。

WHOなどは、今後もパンデミックが起こると予測しています。

まとめ

イエス・キリストは、終末時代が始まったことがわかる「しるし」として「世界大戦」「地震」「飢饉」「疫病」を挙げました。そして、この4つのしるしがすでに現実のものになっていることを見ました。

次は、終末時代に起きることを預言した「終末預言」の中で、すでに一部が成就しているものをご紹介します。

II. すでに一部が成就している終末預言

終末預言の中には、すでに一部が成就しているものがあります。預言されていることのすべてではありませんが、前提となっている条件が実現している預言です。そのような預言には、1.イスラエルの建国と、2.エルサレムのユダヤ人支配の預言があります。

  1. イスラエルの建国
    いくつかの終末預言では、ユダヤ人が国を持っていることが前提となっています。そのため、そうした終末預言は、ユダヤ人が国を持つまでまでは、成就する可能性がありませんでした。1948年にイスラエルが建国されることで、そのような預言の一部が成就することになりました。
  2. エルサレムのユダヤ人支配
    ユダヤ人がエルサレムを支配していることを前提とした終末預言もいくつかあります。この終末預言も、ユダヤ人がエルサレムを支配するまで、成就する可能性がありませんでした。1967年に六日戦争(第三次中東戦争)でイスラエルがエルサレムの旧市街を占領することで、そのような預言の一部が成就することになりました。

ここでは、この2つの預言を含む終末預言を見ていきましょう。

1. イスラエル建国の預言

第一次ユダヤ戦争(紀元66~70年)、第二次ユダヤ戦争(紀元132~135年)でローマに敗れて以降、多くのユダヤ人は国を追われ、世界に離散して暮らしていました。ユダヤ人は約二千年間、国を持たない「離散の民」でした。しかし、聖書では、ユダヤ人が再び国を持つようになることが預言されていました。そのような預言の一つが、ダニエル書9:27前半の預言です。

27  彼は一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物をやめさせる。(後半省略)

ここで「彼」と言われているのは「反キリスト」のことです。反キリストとは、終末時代に現れる人物で、全世界を支配することになると預言されています。反キリストは救世主を装った偽キリストであり、神に敵対する者です。

MEMO
反キリストについては、聖書入門.comの「反キリストとは誰ですか」が参考になります。

また、 「一週」というのは7年間のことです。ここで「週」というのはヘブル語で「7」を意味する言葉です。これが「7日」を指すのか「7年」を指すのかは文脈によって決まります。この文脈では「7年」の意味になります。

この預言を書き記した預言者ダニエルはユダヤ人に向けて語っているので、「多くの者」とは、ユダヤ人の多くの者という意味です。この言葉から、反キリストに与しないユダヤ人もいることがわかります。

預言の意味

預言者ダニエルは、反キリストがユダヤ人と7年間の契約(平和条約)を結ぶことを預言しています。この7年間は大患難時代のことです。大患難時代とは、キリストが再臨する直前の7年間を指し、全世界で戦争と災害が起こる苦難の時代です。この預言によると、反キリストとユダヤ人が契約を結ぶと、大患難時代が始まることになります。

MEMO
「再臨」とは、復活して天に上ったキリストが、再び地上に戻ってこられることを指します。キリストが再臨すると、今ある世界は終わり、「メシア的王国」「千年王国」と呼ばれる新しい時代が来ることが預言されています。

ユダヤ人が平和条約を結ぶということは、その時までにユダヤ人は自分の国と政府を持っていることになります。そのため、この預言はユダヤ人が国を持つようになるという預言にもなっているわけです。

預言の成就

この預言が成就したのが、1948年のイスラエル建国です。1948年5月14日にユダヤ人組織の「ユダヤ機関」が建国を宣言し、ベン・グリオンが初代首相に就任しました。

MEMO
イスラエル建国の預言については、別シリーズの「過去に成就した聖書預言」でも取り上げる予定です。こちらもよろしければご覧ください。

2. ユダヤ人のエルサレム支配

終末預言の中には、ユダヤ人がエルサレムを支配していることが前提になっているものがあります。もう少し細かく言うと、ユダヤ教の神殿がエルサレムに建っていることが前提になっている預言がいくつかあります。先ほどのダニエル書9:27も、その一例です。先ほど見た文の後半に、該当する預言が書かれています。

27  彼は一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物をやめさせる。…

先ほど「一週」は7年間のことと言いました。そのため、「半週」とは7年間の半分、3年半のことです。これは大患難時代の後半3年半を指します。「いけにえとささげ物」は、神殿で捧げられるものです。

預言の意味

この預言はユダヤ人に語られたものです。旧約聖書の律法では、いけにえは神殿で捧げる必要があります。そのため、この預言は、大患難時代の半分である3年半が経った時点では、すでに神殿が建って機能しているという預言にもなっています。

また、神殿はエルサレムの「神殿の丘」に建てる必要があります。神殿の丘は、古代イスラエルのソロモン王が神殿を建てた場所で、紀元70年にローマ軍に焼かれた神殿も同じ場所に建っていました。そのため、神殿が建っているということは、神殿の丘がユダヤ人の支配下に置かれていることを意味します。

問題

イスラエルの建国時、神殿の丘はイスラエルが支配するエルサレムの新市街ではなく、隣国ヨルダンが支配する旧市街にありました。つまり、ダニエル9:27の終末預言が成就するには、エルサレムの旧市街がユダヤ人の支配下に置かれる必要がありました。

預言の成就

この預言は、1967年6月5日に起きた六日戦争(第三次中東戦争)で成就しました。イスラエルは、この戦争でエジプト、ヨルダン、シリアと戦い、6日間で圧倒的勝利を収めます。この時に、ヨルダンが占領していたエルサレムの旧市街をイスラエルが占領します。このようにして、神殿の丘がイスラエルの支配下に置かれることになりました。

エルサレム旧市街

MEMO
ただ、神殿の丘にユダヤ教の神殿はまだ建っていません。現在、神殿の丘にはイスラム教の「岩のドーム」が建っています。このドームは、イスラム王朝であるウマイヤ朝のカリフ(イスラム国家の最高指導者)が692年に完成させたものです。しかし、聖書の預言によると、神殿の丘にいつの日か神殿が建つ日が来ます。この「第三神殿」の預言については、このシリーズで後ほど取り上げることにします。

結論

聖書の預言によると、今は終末時代です。つまり、世の終わりとキリストの再臨が間近に迫っている時代です。

終末時代の最後の7年間が、大患難時代です。大患難時代は、イスラエルと反キリストが契約を結ぶと始まります。今はまだ反キリストが現れていないので、大患難時代は始まっていません。

ほかにも、大患難時代が始まる前に成就する必要がある預言がいくつかあります。次回は、そうした預言の一つを紹介します。

  1. Payne, J. B., The Encyclopedia of Biblical Prophecy (Baker Pub. Group, 1980), p. 675

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終末時代に生きるクリスチャンの役割(3)世の光となる | Biblical

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