mess of pottage

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この言葉は、直訳すればスープ一杯ですが、聖書の内容からつまらないもの、無価値なもの、一時的な利益という意味で使われます。創世記25:34が出典です。

創世記25:34

英語(KJV)

Then Jacob gave Esau bread and pottage of lentiles; and he did eat and drink, and rose up, and went his way: thus Esau despised his birthright. 

日本語(新改訳2017)

ヤコブがエサウにパンとレンズ豆の煮物を与えたので、エサウは食べたり飲んだりして、立ち去った。こうしてエサウは長子の権利を侮った。 

解説

創世記の双子の兄弟の話の中で、兄エサウが空腹のあまり「長子の権利」を弟のヤコブに一杯のレンズ豆(ヒラマメ)のスープと引き換えに売ってしまうという話があり、そこから来ています。「mess」は「混乱、乱雑」という意味でよく使われますが、「食事」という意味もあり、ここでは後者の意味で使われています。「pottage」は野菜スープという意味ですね。

MEMO
レンズ豆はあまり日本では見かけませんが、レンズのような形をした豆です。レンズという言葉は、レンズ豆が語源です。

ここで言う「長子の権利」は、ただ長男が受け継ぐ権利というだけでなく、エサウとヤコブの祖父であるアブラハムが受けた神の約束を受け継ぐことも意味していました。その約束は「アブラハム契約」とも呼ばれ、次のような内容です(創世記12:1~3)。

1  【主】はアブラムに言われた。「あなたは、あなたの土地、あなたの親族、あなたの父の家を離れて、わたしが示す地へ行きなさい。  2  そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとする。あなたは祝福となりなさい。 3  わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、あなたを呪う者をのろう。地のすべての部族は、あなたによって祝福される。」 

イサクが受け継ぐはずだったものは「大いなる国民となる」「地上のすべての民族の祝福となる」という壮大な約束でした。この約束を一杯のスープで売ってしまったのです。

この約束は、ヤコブ、そしてユダヤ民族に受け継がれました。そして、この約束どおり、ユダヤ民族は聖書と救い主イエスを世にもたらす民となりました。

使用例

Freedom is not a commodity that can be bartered for a mess of pottage.
― Deana Chadwell, “Reality Therapy for Liberals,” American Thinker, 6 Sep 2015 (https://www.americanthinker.com/articles/2015/09/reality_therapy_for_liberals.html)
自由はスープ一杯(一時的な利益)と引き換えにできるようなものではありません。

参考:白井俊雄『英米人のものの見方を理解するための教養の英語』(ベレ出版、2013年)

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