ケルビン卿(ウィリアム・トムソン)(Lord Kelvin、1824~1907年)は、ニュートンやファラデーと並ぶ物理学者であり、3人とも聖書を信じるキリスト教徒でした。ケルビン卿は絶対温度の概念を確立した人物で、絶対温度の単位「ケルビン(K)」はケルビン卿の名前から取られています。熱力学を科学分野として確立し、熱力学の第一法則と第二法則を定式化しました。エネルギーの概念を採用した最初の科学者でもあります。
ケルヴィン卿は信仰心に厚いキリスト教徒でもあり、ライエルの斉一説とダーウィンの進化論の両方に反対しました。ケルビン卿が計算した地球の最大年齢は1億年であり、進化論にとってはあまりにも短すぎるため、「ダーウィンのブルドッグ」と呼ばれたトーマス・ハクスリーとの間で長期にわたる論争となりました。
ケルビン卿は大西洋横断電信ケーブルの敷設に成功し、これによりナイトの称号を授与されています。
このような栄誉に浴しながらも、ケルビン卿は常に謙虚なキリスト教徒であり続けました。1903年に行われた有名な証しの中で、ケルビン卿は「生命の起源に関して、科学は…創造の力を裏付ける(With regard to the origin of life, science . . . positively affirms creative power)1」と明言しています。
ケルビン卿にとって、聖書と科学法則は矛盾がないだけでなく、聖書は科学法則によって裏付けられているものでもありました。ケルビン卿は次のように語っています。
私たちは、天と地が「衣のようにすり切れる」[詩篇102:26]のは科学的に確実であるという厳粛な事実と向き合っている。このゆっくりとしたプロセスは、一定の法則[ケルビンは収縮説と熱力学の法則を念頭に置いていた]の下で進行する自然の作用が徐々に進みながら、「自然界の諸要素は焼け崩れる」[2ペテロ3:10、聖共同訳]と言われている状況に至る。力学的エネルギーと無機物における変換の法則を考えれば、そうなると考えざるを得ないのである。もしそうであれば、「新しい天と新しい地」を啓示している「光」に照らされなければ、人類の前途は実に暗いものとなるだろう。
We have the sober scientific certainty that heavens and earth shall ‘wax old as both a garment’ [Ps. 102:26] and that this slow process must take place gradually, by natural agencies which we see going on under fixed laws [he had in mind his contraction theory and the laws of thermodynamics], bring about circumstances in which ‘the elements shale melt with fervent heat.’ With such views forced upon us by the contemplation of dynamical energy and its laws of transformation in dead matter, dark indeed would be the prospects of the human race if unilluminated by that light which reveals ‘new heavens and new earth.’2
最後の「新しい天と新しい地」を啓示している「光」とは、聖書のことです。「新しい天と新しい地」とは、今の世界が滅びた後にもたらされる新しい世界のことです(黙示録21~22章)。ケルビン卿が聖書の終末論を文字どおり信じていたことがわかる言葉です。
ケルビン卿は次のような言葉も残しています。
自由に考える人であることを恐れてはならない。十分に強く考えるなら、科学によって、あらゆる宗教の土台である神への信仰に引き戻される。そうすれば、科学は宗教と対立するものではなく、宗教に役立つものだとわかるだろう。
Do not be afraid of being free thinkers. If you think strongly enough you will be forced by science to the belief in God, which is the foundation of all Religion. You will find science not antagonistic, but helpful to Religion.3
> 参考資料参考資料
- Henry M. Morris, Men of Science, Men of God (Master Books, 1988)
- Dan Graves, Scientists of Faith (Kregel Publications, 1996)
> 脚注脚注
-
Dan Graves, Scientists of Faith (Kregel Publications, 1996), p.146 ↩
-
Dan Graves, Scientists of Faith (Kregel Publications, 1996), p.146 ↩
-
The Times, May 2, 1903, Lord Kelvin on Religion and Science, corrected by Lord Kelvin himself in The Life of William Thompson, Baron Kelvin of Largs, by S.P. Thompson ↩