創世記1:24、31 ― 人間と恐竜の共存(2)ドラゴン伝説

聖ゲオルギオスと竜の絵画

創世記1:24、31

24  神は仰せられた。「地は生き物を種類ごとに、家畜や、這うもの、地の獣を種類ごとに生じよ。」すると、そのようになった。…
31  神はご自分が造ったすべてのものを見られた。見よ、それは非常に良かった。夕があり、朝があった。第六日。 

解説

進化論では、恐竜は6600万年前に絶滅したと言われています。また、人類の誕生は600万年前から500万年前と言われています。つまり、進化論によると、恐竜と人類の共存はなかったことになります。

しかし、創世記1:24~31では、地上の動物はすべて人間と同じ6日目に創造されたと言われています。つまり、恐竜と人類は共存していたことになります。進化論と聖書の主張は矛盾しているわけですが、どちらが正しいのでしょうか?

ドラゴン伝説

米国を代表する博物館であるスミソニアン博物館は、『Smithsonian Magazine』という雑誌を発行しています。この雑誌の記事で、一人の記者が次のような疑問を呈しています。

そもそもドラゴン(竜)の神話はどこから来たのだろうか。学者たちは、ドラゴンへの信仰はおそらくヨーロッパと中国、そしておそらくアメリカ大陸とオーストラリアで独自に発展したのだろうと述べている。どうしてそうなったのだろうか?
― Joseph Stromberg, “Where Did Dragons Come From?,” Smithsonian Magazine, 23 Jan 2012 (https://www.smithsonianmag.com/science-nature/where-did-dragons-come-from-23969126/)

Where did the myth of the dragon come from in the first place? Scholars say that belief in dragons probably evolved independently in both Europe and China, and perhaps in the Americas and Australia as well. How could this happen?

この記者は、世界各地に同じような「ドラゴン(竜)の神話」があることを不思議に思い、記事の中で起源を推測しています。実際に、ドラゴン(竜)は、世界中の文化の中で記録され、芸術作品や遺跡などにも描かれています。たとえば、ダマスコの聖イオアン(紀元676年頃~749年)は、ローマ史家のカッシウス・ディオの記録を引用して、ローマ軍が竜に遭遇した事件を次のように紹介しています。

ある日、ローマの執政官レグルスがカルタゴと戦っていたとき、突然一匹の竜が忍び寄り、ローマ軍の壁の後ろに居座った。ローマ軍はレグルスの命令でこれを殺し、皮を剥いでローマの元老院に送った。元老院の命令で竜の皮を測ると、なんと長さが120フィート(約36.5メートル)あり、厚さも長さに見合うものであったとディオは語っている。
― Bodie Hodge, “Dragon Legends—Truths Behind the Tales,” Answers in Genesis, 1 Oct 2011

One day, when Regulus, a Roman consul, was fighting against Carthage, a dragon suddenly crept up and settled behind the wall of the Roman army. The Romans killed it by order of Regulus, skinned it and sent the hide to the Roman senate. When the dragon’s hide, as Dio says, was measured by order of the senate, it happened to be, amazingly, one hundred and twenty feet long, and the thickness was fitting to the length.

ダマスコの聖イオアンは、ギリシャ教父の一人で、ダマスコ(現在のシリアのダマスカス)の知事を務めたこともある人物です。そのため、名も知れない空想家が書いたものではありません。しかも、イオアンは当時の迷信を否定する書物(『On Dragons and Ghosts』)の中でこの文章を記しています。つまり、ここでは竜は空想上の神秘的な存在ではなく、実在の動物であることを示すために書いています。そのほかにも、スミソニアン博物館の記事でも言われているように、さまざまな文化の中で竜に遭遇したという記録が残っています。

人類と恐竜が共存していた?

9世紀末~12世紀末のカンボジアで栄えた「クメール文明」の遺物に、「アンコール・トム(Angkor Thom)」と呼ばれる遺跡群があります。これは紀元12~13世紀の時代に建設されたもので、現在は世界的な観光地となっています。このアンコール・トムの建造物の中で最も重要なのは、タ・プロームの大寺院です。この大寺院の壁には、様々な彫刻が施され、象、蛇、魚、猿などの実在する動物が描かれています。その中に、次のようなレリーフ(浮彫り絵)があります。

タ・プローム大寺院のレリーフ
タ・プローム大寺院のレリーフ

これを見るとステゴサウルスに似た恐竜のように見えます。ステゴサウルスの化石は19世紀中期に発見されたものですので、すでに12~13世紀のカンボジアでこのようなレリーフが彫られていたのは不思議なことです。このようなレリーフや岩面彫刻は、米国のユタ州など他の地域でも見られます。

こうした記録や遺物は、人類と恐竜が共存していたことの完全な証明とはならないかもしれません。しかし、その可能性を十分に示唆するものです。

参考資料

写真

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