この言葉は「心の貧しい者は幸いです」と訳され、イエス・キリストの「山上の垂訓」に出てきます。マタイ5:3が出典です。
> マタイ5:3~4マタイ5:3~4
英語(NIV)
3 Blessed are the poor in spirit, for theirs is the kingdom of heaven.
4 Blessed are those who mourn, for they will be comforted.
日本語(新改訳2017)
3 心の貧しい者は幸いです。天の御国はその人たちのものだからです。
4 悲しむ者は幸いです。その人たちは慰められるからです。
> 解説解説
「Blessed are the poor in spirit」という英語表現は、普通の言い方をすると「The poor in spirit are blessed」ですが、「Blessed」を前に出して倒置形にすることで、「幸い」の部分を強調しています。「The poor」は、「貧しい」というカテゴリに入る人すべてを指す集合名詞なので、動詞が「is」ではなく「are」になっています。
この聖書箇所はイエスの有名な「山上の垂訓」の一部です。イエスはこの説教で、この世の基準からではなく、神の目から見た8つの「幸い」について話されました。この8つの幸いの教えは「the Beatitudes」(八福の教え)とも呼ばれます。
一つ目の「心の貧しい人」とは、心が卑しいとか、心が狭いとかいう意味ではなく、自分の霊的な貧しさを知り「自分の義(正しさ)」より「神の義」により頼んでいる人のことを意味しています。
二つ目の「悲しむ者」とは、自分の罪やこの世の悪を嘆き悲しむ人のことを指し、そういう人は、ただちに罪を告白して赦しを受け、地上で罪の赦しを体験し、将来、神の義の完全な実現を見て慰められるので幸いだと説かれています。
イエスの価値基準は、この世の基準とは違います。この世では、成功している人、地位の高い人、お金や権力を持っている人が「幸い」と思われがちですが、イエスはへりくだっている人、自分の罪の問題に気づいている人が「幸い」と語っています。
> 参考資料参考資料
- 白井俊雄『英米人のものの見方を理解するための教養の英語』(ベレ出版、2013年)
- 中川健一メッセージシリーズ『マタイの福音書』(https://message-station.net/episode/cat_episode/matthew/)