グレゴール・メンデル（Gregor Mendel、1822年～1884年）は、「遺伝学の父」として知られるカトリックの修道士、生物学者です。メンデルはエンドウ豆を使った交配実験を通して、遺伝の基本法則を発見しました。この法則（メンデルの法則）は、遺伝子がどのように親から子へと伝わるかを説明するもので、現代遺伝学の基礎となっています。

メンデルの研究は生前には注目されませんでしたが、1900年までに他の科学者たちによって再発見され、重要性が認められています。

メンデルはダーウィンの著作を読んでいましたが、進化論は受け入れませんでした。この世界は神が創造されたものであり、偶然によって生じたはずがないと信じていたためです。

修道士であり、科学者でもあることは今では想像しにくいかもしれませんが、当時はめずらしいことではありませんでした。実際に、メンデルのいた修道院は科学研究が盛んで知られていました。メンデルのキリスト教徒としての生活と科学者の生活が矛盾したものでなかったことについて、次のように言われています。

メンデルのキリスト教信仰は、科学への関心を妨げるものではなかったばかりか、キリスト教徒として生きることで科学者としての仕事が可能になっていたのである。修道士となり、修道院の中で生活することで、メンデルは科学を学び、実験を行う機会を得た。キリスト教が反科学であるという誤解に反し、初期の西洋科学は教会の中で花開いたのである。教会の持つ資産によって、メンデルのような修道士が自然界を研究する時間と資源が与えられたためである。メンデルの画期的な研究は、28,000株のエンドウ豆を用いた8年にわたる複雑な実験であった。修道士仲間には、数学者、植物学者、哲学者、地質学者がいた。修道院の図書館には3万冊の蔵書があった。こうしたものすべてが、詩篇111：2の聖句「主の御業は大きく　それを愛する人は皆、それを尋ね求める」（新共同訳）に動機付けられていることは疑う余地がない。

原文を読む

Not only was his Christian faith not an obstacle to his interest in science, but his life as a Christian actually made his work as a scientist possible. Becoming a friar and living within a religious order afforded Mendel the opportunity to study science and conduct experiments. Contrary to the misperception that Christianity is anti-science, early Western science flourished in the church because the wealth of the church afforded friars like Mendel the time and resources to study the natural world. Mendel’s groundbreaking work was a complex, eight-year experiment involving 28,000 pea plants. His fellow friars were mathematicians, botanists, philosophers, and geologists. The library in their abbey contained 30,000 books. All of this no doubt motivated by the Bible verse found in Psalm 111:2, “Great are the works of the Lord; studied by all who delight in them.¹

> 参考資料参考資料

• Henry M. Morris, Men of Science, Men of God (Master Books, 1988)
• Dan Graves, Scientists of Faith (Kregel Publications, 1996)