過去に成就した聖書預言(2)ユダヤ人の離散と帰還

過去に成就した聖書預言(2)ユダヤ人の離散と帰還

このシリーズでは、過去に成就してきた聖書預言を紹介します。聖書に書かれた預言と、実際に起こった歴史的事実を照らし合わせることで、聖書が信頼できる書物であることを確認していきます。
今回は、国を失って世界に離散していたユダヤ人が、神に約束された土地、イスラエルの地(パレスチナ)に戻るという預言の成就についてお話しします。

MEMO
最初に用語の説明をしておきます。

  • 「イスラエル」という言葉は、現在のイスラエルという国家を指す場合と、イスラエルという民族を指す場合があります。イスラエルという民族を指す場合は、ユダヤ人、ユダヤ民族という言葉と基本的に同じ意味です。
  • 「イスラエルの地」と「パレスチナ」は、基本的に同じ地域を指します。この説明は後ほど行います。

はじめに

ユダヤ人の謎

ドイツの前身であるプロイセンに、フリードリヒ大王(1712年~1786年)という王がいました。フリードリヒ王にまつわる逸話で次のようなものがあります。

プロイセンのフリードリヒ大王は、あるとき侍従医に神の存在を証明するものは何かとたずねた。侍従医はこう答えた。「陛下、ユダヤ民族が今も存在し続けていることです」

The story is told that King Frederick the Great of Prussia once asked his physician to give him proof for the existence of God. His physician replied, “Your Majesty, the continued existence of the Jews.”1

この侍従医がこう言った背景には、ユダヤ人の歴史があります。ユダヤ人は、2千年近く国を持たない離散の民として生きてきました。そして、行く先々で迫害や虐殺を受けてきました。それでも、ユダヤ人は定住した国に忠実に仕え、一部の国では高い地位に就いたり、巨万の富を築いたりする者も現れました。この侍従医は、このようなユダヤ人の生存と繁栄の背景には、神がおられると考えたのです。

預言の話に入る前に、ユダヤ人がどのような歴史を歩んできたかを振り返ってみましょう。

ユダヤ人の歴史

古代イスラエルは紀元2世紀にローマ帝国によって滅ぼされました。それ以降、約2千年間、国を持たない民族として、苦難の歴史をたどってきました。

追放の歴史

ユダヤ人は離散した先の国から追放されることが多く、定住国を転々としてきました2

  • 第一次ユダヤ戦争(紀元66年~73年)、第二次ユダヤ戦争(紀元132~135年)でローマに敗れ、エルサレムなどの地域から追放される。
  • イスラム教の第2代カリフがアラビア半島(一部を除く)からユダヤ人を追放(641年)
  • イングランドのユダヤ人追放令(1290年)
  • ハンガリーのユダヤ人追放令(1349年、1360年)
  • フランスのユダヤ人追放令(1394年)
  • オーストリアのユダヤ人追放令(1421年)
  • スペインのユダヤ人追放令(1492年)
  • ポルトガルのユダヤ人追放令(1496年)
  • イエメンのユダヤ人追放令(1679年)

虐殺の歴史

ユダヤ人の虐殺はホロコーストだけではありません。以下に挙げたユダヤ人の虐殺は、推定で10万人以上のユダヤ人が殺害されたものです3。このリストは、ユダヤ人が体験してきた虐殺のごく一部で、小規模なものを含めれば数え切れません。

  • 十字軍による虐殺(11~13世紀)
  • モロッコのフェズとマラケシュで起きた虐殺(フェズ10万人、マラケシュ12万人)(1146年)
  • ドイツのリントフライシュ卿による虐殺(10万人)(1298年)
  • ウクライナのコサックによる虐殺(10万人)(1648~1655年)
  • ロシアや東欧のポグロム(ユダヤ人虐殺)(近世・近代)
  • ナチスドイツのホロコースト(600万人)(1941年~1945年)

歴史家の証言:マックス・I・ディモント

『The Indestructible Jews(邦題:ユダヤ人の歴史)』の著者、ユダヤ人史家のマックス・I・ディモントは、過酷な歴史を生きてきたユダヤ人が滅びずに生き残ってきた事実について、次のように語っています。

ユダヤ人の歴史は、スペングラーの歴史体系でも、トインビーの歴史体系でも説明できない。そのため、スペングラーはその存在を無視し、トインビーはユダヤ人を欄外注的に扱って「ユダヤ人は歴史の化石である」という一言で片付けるだけである。4

ディモントが言うように、国を失った民族が2千年間も民族として存続し続けた例はありません。

  • ペリシテ人:紀元前332年にアレクサンドロス大王にガザを攻略された後、歴史上から姿を消した。
  • フェニキア人:アレクサンドロス大王によってツロが征服された後、消滅した。
  • その他、カナン人、エドム人、モアブ人、ヒッタイト人など、イスラエルと同じような時代に存在した民族で、国を失った後も民族として存続した例はない。

作家の証言:マーク・トウェイン

米国の作家で『トム・ソーヤーの冒険』の著者として知られるマーク・トウェインは、ユダヤ人の生存と繁栄について次のように書き記しています。

そのことを説明しようと思えば、徒労に終わるか、説明できなくても無理もないと言われる。エジプトも、バビロンも、ペルシアも、全地を満たし、栄華を極めたが、やがて停滞が訪れ、歴史の表舞台から消えていった。その後、ギリシアとローマが興り、世界を席巻したが、今やその影も形もない。その後も次々に諸民族が歴史の表舞台に登場し、一時期文明の光を放ったが、その光はやがて失せ、斜陽が訪れ、歴史から姿を消していった。ユダヤ人はそうした諸民族の興亡を目撃しつつ、それを尻目に今日まで生き延びてきた。そして、今もかつてと変わらず、衰退することも衰弱することもなく、その活力や進取の精神を失うこともない。万物には終わりがあるが、ユダヤ人だけは例外だ。権勢を誇る者もやがて過ぎ去っていくが、ユダヤ人だけは生き残る。ユダヤ人が不滅である理由はなにか。4

ユダヤ人不滅の理由

ユダヤ民族が2千年間、国を失っても存続し続けてきた理由は歴史学ではわかりません。しかし、聖書はユダヤ民族が存続してきた理由をはっきりと語っています。

マラキ3:6

【主】であるわたしは変わることがない。そのため、ヤコブの子らよ、あなたがたは絶え果てることはない。 

ヤコブは、イスラエル民族の父祖です(創世記32:28)。つまり、「ヤコブの子ら」はイスラエル民族を指します。

エレミヤ31:35~37

35 【主】はこう言われる。太陽を与えて昼間の光とし、月と星を定めて夜の光とし、海をかき立てて波を騒がせる方、その名が万軍の【主】である方が。 36  「もしも、これらの掟がわたしの前から去ることがあるなら──【主】のことば──イスラエルの子孫は絶えて、わたしの前にいつまでも一つの民であることはできない。」 
37  【主】はこう言われる。「もしも、上の天が測られ、下の地の基が探り出されることがあるなら、わたしも、イスラエルのすべての子孫を、彼らの行ったすべてのことのゆえに退ける。──【主】のことば。」 

ここで言われていることは、太陽や月星を滅ぼすことができるなら、ユダヤ人も滅ぼすことができるという意味です。つまり、ユダヤ民族が滅びないことは、創造主である神が保証していることなのです。

今という時代

フリードリヒ大王の侍従医は、国を失ってもユダヤ人が民族として存続してきたことに神の存在を感じ取りました。現代は、離散していたユダヤ人がイスラエルの地に帰還して国家を再建している時代です。そのため、聖書の神が生きて働く方であることをさらに明確に知ることができる時代です。

以上が、ユダヤ人の離散の歴史を振り返るイントロダクションです。次に聖書預言の本論に入ります。

1. 離散の預言

ユダヤ人は2千年近く国を持たない離散の民として生きてきました。しかし、ユダヤ人が再びイスラエルの地に帰ってくることは、聖書で預言されていました。しかも、ユダヤ人が国を失って世界中に離散することも、イスラエルの地に入る前から預言されていました。

レビ記26:14~15、31~33

この聖書箇所は、イスラエル民族がエジプトを出て、約束の地に入る前に、シナイ山でモーセの律法が与えられた時の預言です。神は、モーセの律法を守れば約束の地で安らかに住むことができると語った後、次のように警告されました。

14  しかし、もし、あなたがたがわたしに聞き従わず、これらすべての命令を行わないなら、 15  また、わたしの掟を拒み、あなたがた自身がわたしの定めを嫌って退け、わたしのすべての命令を行わず、わたしの契約を破るなら、 ……
31 わたしはあなたがたの町々を廃墟とし、あなたがたの聖所を荒れ果てさせる。わたしはあなたがたの芳ばしい香りをかぐことはしない。 32 わたしはその地を荒れ果てさせ、そこに住むあなたがたの敵はそれを見て唖然とする。 33 わたしはあなたがたを国々の間に散らし、剣を抜いてあなたがたの後を追う。あなたがたの地は荒れ果て、あなたがたの町々は廃墟となる。 

MEMO
レビ26:33では、ユダヤ人を「国々の間に散らす」と言われています。そのため、この預言はバビロン捕囚の預言ではないことがわかります。バビロン捕囚の時は、バビロンという1つの国に連行されたためです。

2. 離散の成就

レビ記26:14~15、31~33の預言は、紀元2世紀にイスラエルがローマ帝国に滅ぼされることで成就しました。イスラエルは、当時の支配者のローマ帝国に対して第一次ユダヤ戦争(紀元66年~73年)、第二次ユダヤ戦争(紀元132~135年)という2度の反乱を起こし、鎮圧されます。その結果、多くのユダヤ人が故郷を追われ、ヨーロッパや中東、アフリカなどに逃れたり、奴隷として売られたりすることになりました。

イスラエルの地のその後

ユダヤ人の反乱に手を焼いたローマ帝国は、イスラエルの地を「脱ユダヤ化」しようとしました。そのため、イスラエルの地を「パレスチナ」という名称で呼ぶようになりました。パレスチナは、イスラエルの仇敵で、当時すでに滅亡していた民族「ペリシテ人」から取った名称です(ちなみに、ペリシテ人と現在のパレスチナ人の間に民族的なつながりはない)。第二次ユダヤ戦争(バル・コクバの乱)以降は、ユダヤ人はエルサレムに出入りすることも禁じられました。

ただし、その後もユダヤ人はガリラヤ湖周辺のテベリヤなどに定住し、ユダヤ人がこの地から完全に絶たれることはありませんでした。

パレスチナの荒廃

レビ26:33で「あなたがたの地は荒れ果て、あなたがたの町々は廃墟となる」と預言されていたとおり、ユダヤ人が離散した後のパレスチナは荒れ果てていきました。

先述のマーク・トウェインは、旅行で訪れたパレスチナの荒れ果てた状況を記録しています。ユダヤ人の帰還運動が始まる前の1869年に出版された著書で、マーク・トウェインは次のように書き記しています。

(エズレルの)谷には、動くものは何もない。気の滅入る風景だけである。ちゃんとした村はどこを見ても一つもない――三十マイル四方、どちらを向いても存在しない。ベドウィンの小さなテントが、二、三あるだけ、耐久家屋は一軒も見当たらない。人影もまれで、あちこち十マイルほど馬を乗り回しても、十人足らずの人間に会うのが関の山だろう……わびしい気分に浸りたいのなら……ガリラヤ地方へ行けばよい……住民は絶え、荒野と化した地。どこまでも続く赤茶けた不毛の大地……カペナウムのもの悲しい廃墟、うらぶれたティベリアの村、墓石の如くに立つ六本の棕櫚椰子のもとに眠る村……我々は無事タボール山に着いた……途中ひとりの人間にも出会わなかった。
 ナザレは、見捨てられたようなみじめな所……呪われた町エリコは、廃墟の中に眠る。……
 ベツサイダとコラジンは地上から消えうせ、周辺は砂漠になっている。……
 パレスチナは、喪服をまとった亡骸になった……醜い、うらぶれた姿に変わり果てている……。5

ユダヤ人の離散は、聖書が預言したとおりに実現しました。

3. 帰還の預言

預言者は、ユダヤ人が離散することだけでなく、イスラエルの地に戻ってくることを預言していました。旧約聖書の預言者はみな(ヨナ以外)、ユダヤ人がイスラエルの地に帰還することを預言しています6。その中でも有名なのが、エゼキエル37:1~14で語られている「枯れ骨の谷」の預言です。

MEMO
ユダヤ人の約束の地への帰還を語った預言には、申命記4:29~31、30:1~10、イザヤ27:12~13、43:5~7、エレミヤ31:7~10、エゼキエル11:14~21、エゼキエル37:1~14、ゼカリヤ10:8~12などがある。

エゼキエルの「枯れ骨の谷」の預言

エゼキエルは、紀元前597年の捕囚でバビロンに連れてこられたユダヤ人です。ケバル川のほとりにあるテル・アビブという村に住んでいました。エゼキエルは神から啓示されたいくつかの幻を見ます。その一つが「枯れ骨の谷」の預言です。

預言の内容:エゼキエル37:1~6

1  【主】の御手が私の上にあった。私は【主】の霊によって連れ出され、平地の真ん中に置かれた。そこには骨が満ちていた。 2  主は私にその周囲をくまなく行き巡らせた。見よ、その平地には非常に多くの骨があった。しかも見よ、それらはすっかり干からびていた。 
3  主は私に言われた。「人の子よ、これらの骨は生き返ることができるだろうか。」私は答えた。「【神】、主よ、あなたがよくご存じです。」 
4  主は私に言われた。「これらの骨に預言せよ。『干からびた骨よ、【主】のことばを聞け。5  【神】である主はこれらの骨にこう言う。見よ。わたしがおまえたちに息を吹き入れるので、おまえたちは生き返る。 6  わたしはおまえたちに筋をつけ、肉を生じさせ、皮膚でおおい、おまえたちのうちに息を与え、おまえたちは生き返る。そのときおまえたちは、わたしが【主】であることを知る。』」 

ここで「骨」とは、文字どおりの意味ではなく、イスラエル民族のことを指す比喩的表現です。このことはエゼキエル37:11で明らかになります。

預言の結果:エゼキエル37:7~10

エゼキエルが神のことばに従って預言を行った結果が、次の7~10節に記されています。

7 私は命じられたように預言した。私が預言していると、なんと、ガラガラと音がして、骨と骨とが互いにつながった。 8 私が見ていると、なんと、その上に筋がつき、肉が生じ、皮膚がその上をすっかりおおった。しかし、その中に息はなかった。 
9 そのとき、主は言われた。「息に預言せよ。人の子よ、預言してその息に言え。『【神】である主はこう言われる。息よ、四方から吹いて来い。この殺された者たちに吹きつけて、彼らを生き返らせよ。』」 
10 私が命じられたとおりに預言すると、息が彼らの中に入った。そして彼らは生き返り、自分の足で立った。非常に大きな集団であった。 

預言の解説:エゼキエル37:11~12

最後に、エゼキエルに告げられた預言の解説が、11~12節で語られます。

11 主は私に言われた。「人の子よ、これらの骨はイスラエルの全家である。見よ、彼らは言っている。『私たちの骨は干からび、望みは消え失せ、私たちは断ち切られた』と。 
12 それゆえ、預言して彼らに言え。『【神】である主はこう言われる。わたしの民よ、見よ。わたしはあなたがたの墓を開き、あなたがたをその墓から引き上げて、イスラエルの地に連れて行く。 
先述の通り、「骨」とは文字どおりの意味ではなく、イスラエル民族(「イスラエルの全家」)を指す比喩的表現であることがわかます。

「干からびた骨」とは、希望を失っているイスラエルの象徴的表現です。長年の離散とホロコーストによる虐殺を経験したイスラエルによく当てはまる表現です。

このような絶望の中にいたイスラエルに対して、神が「イスラエルの地に連れて行く」(12節)と約束します。ここでは、ユダヤ人がイスラエルの地(パレスチナ)に帰還することが預言されているのです。

「枯れ骨の谷」の預言とイスラエル建国

イスラエルの多くの政治家も、イスラエルの建国はエゼキエルの「枯れ骨の谷」の預言の成就と考えています。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相

ネタニヤフ首相は、2010年1月27日にアウシュビッツ強制収容所跡を訪れ、ホロコースト記念日の演説として次のように語っています。

(ホロコーストの後)ユダヤ民族は灰と破壊の中から、決して癒されることのない恐ろしい痛みの中から立ち上がった。ユダヤ人の精神、人間の正義、そして預言者たちの幻を武器に、私たちは新しい枝を伸ばし、深く根を下ろした。枯れ骨は肉に覆われ、霊が入り、生きる者となって自分の足で立つようになった。
 エゼキエルは次のように預言している。「主は私に言われた。「人の子よ、これらの骨はイスラエルの全家である。見よ、彼らは言っている。『私たちの骨は干からび、望みは消え失せ、私たちは断ち切られた』と。それゆえ、預言して彼らに言え。『【神】である主はこう言われる。わたしの民よ、見よ。わたしはあなたがたの墓を開き、あなたがたをその墓から引き上げて、イスラエルの地に連れて行く」(エゼキエル37:11~12)

After the Holocaust, he continued, “the Jewish people rose from ashes and destruction, from a terrible pain that can never be healed. Armed with the Jewish spirit, the justice of man, and the vision of the prophets, we sprouted new branches and grew deep roots. Dry bones became covered with flesh, a spirit filled them, and they lived and stood on their own feet.”
“As Ezekiel prophesied: ‘Then He said unto me: These bones are the whole House of Israel. They say, ‘Our bones are dried up, our hope is gone; we are doomed.’ Prophesy, therefore, and say to them: Thus said the Lord God: I am going to open your graves and lift you out of your graves, O My people, and bring you to the land of Israel.’”7

イツハク・ヘルツォグ大統領

イスラエルの建国をエゼキエルの「枯れ骨の谷」の預言の成就と考える政治家はネタニヤフ首相だけではありません。ヘルツォグ大統領も、2022年4月27日のホロコースト記念日に次のような演説を行っています。

 (イスラエルの建国は)ユダヤ民族と民族再生の物語であり、イスラエルの地と入植の物語である。世代を超えて続く物語であり、われらが愛する国、イスラエル国家の物語である。イスラエル国家は、預言者エゼキエルが見た枯れ骨の幻を最も深く表現したものである。
 聖書はこう語っています。「それゆえ、預言して彼らに言え。『【神】である主はこう言われる。わたしの民よ、見よ。わたしはあなたがたの墓を開き、あなたがたをその墓から引き上げて、イスラエルの地に連れて行く。 ……わたしがあなたがたのうちにわたしの霊を入れると、あなたがたは生き返る。わたしはあなたがたを、あなたがたの地に住まわせる』」 (エゼキエル37:12~14)

“The story of the Jewish people and its rebirth. The story of the land of Israel and its settlement. The story of the chain of generations, and the story of the State of Israel, our beloved country, which is the most profound expression of the Prophet Ezekiel’s vision of dry bones.
“As the Bible says: ‘Thus said the Lord GOD: I am going to open your graves and lift you out of the graves, O My people, and bring you to the land of Israel… I will put My breath into you and you shall live again, and I will set you upon your own soil.’ (Ezekiel 37:12-14)” 8

ホロコーストとイスラエル建国

ヘルツォグ大統領もネタニヤフ首相も、ホロコーストという絶望的な状況からイスラエルが建国されたことは、エゼキエルの預言の成就であると信じています。多くの聖書学者も、エゼキエルの「枯れ骨の谷」の預言をユダヤ人の帰還とイスラエル建国の預言と考えています。

4. 帰還の成就

イスラエルの地への帰還を告げた「枯れ骨の谷」の預言は、シオニズム運動とイスラエル建国によって成就しました。

預言の成就(1)シオニズム運動

19世紀末に、ユダヤ人の故郷であるイスラエル(パレスチナ)の地にユダヤ人の国家を建設しようとする「シオニズム運動」がヨーロッパで始まりました。当時のヨーロッパでは、反ユダヤ主義が吹き荒れていました。シオニズム運動の結果、1917年には、イギリス外相がパレスチナにユダヤ人の国(ナショナルホーム)を建設することを約束したバルフォア宣言が出されます。第一次世界大戦の主要戦勝国が参加した1920年のサンレモ会議では、パレスチナにユダヤ人の国を建国することが国際的な約束となりました(サンレモ決議)。

預言の成就(2)パレスチナへの移民

シオニズム運動の結果、多くのユダヤ人がパレスチナ(イスラエル)の地に移住し始めました。その後のナチス・ドイツによる迫害でも、ユダヤ人が国外に大量に脱出し、パレスチナにも多くのユダヤ人が移住します。

ユダヤ人が入植して以降、荒れ果てていたパレスチナは急速に発展することになります。

チャーチル英首相の証言

ユダヤ人は、パレスチナに移住してユダヤ人社会を構築し、国家の体裁を整えていきまた。英国のウィンストン・チャーチル首相は次のように証言しています。

「ユダヤ人は、この二、三世紀のうちに、パレスチナに社会を再建した。その人口八万のうち約四分の一は、大地を耕す労働者や農夫である。この社会は独自の政治組織を有する。即ち、選挙で選ばれた議会があり、内政問題を扱っている。町にも選出評議会がある。……商取引では、ヘブライ語が母国語として使われ、ヘブライ語の新聞や雑誌、書籍もある。ユダヤ人社会には独自の知的活動があり、経済活動も相当なものである。独自の言語、風俗、習慣があり、独自の暦で彩られた生活がある。つまり、事実上の国家の性格を持っているのである」9

預言の成就(3)イスラエル建国

国連の委任を受けてパレスチナを統治していた英国は、パレスチナの統治を終了する予定であると1947年2月18日に発表しました。国連は1947年11月29日に、パレスチナの地にユダヤ人国家とアラブ人国家を誕生させる決議を採択(国連パレスチナ分割案)します。この決議をユダヤ人は受け入れ、アラブ人は拒否しました。

英国のパレスチナ委任統治が終了した1948年5月14日に、ユダヤ人はイスラエルの建国を宣言しました。これに対し、アラブ諸国側は宣戦布告を行いました。イスラエルは圧倒的な不利な状況で、独立戦争(第一次中東戦争)に勝利します。

その後も、アラブ諸国やソ連(ロシア)で迫害を受けたり国を追い出されたした多くのユダヤ人がイスラエルに帰還しました。

聖書の預言は文字どおりに成就したのです。

まとめ

米ダラス神学校校長のジョン・ウォルヴォードは、イスラエルの帰還の預言的意義について次のように語っています。

今の世代を特徴付ける数多くの事象の中で、聖書の預言に関する限り、イスラエルの約束の地への帰還ほど重要な出来事はわずかしかない。イスラエルの帰還は、世の終わりを迎えるための準備であり、主が教会を迎えに来られる舞台設定であり、イスラエルに約束されていた預言の成就でもある。

“Of the many peculiar phenomena which characterize the present generation, few events can claim equal significance as far as Biblical prophecy is concerned with that of the return of Israel to their land. It constitutes a preparation for the end of the age, the setting for the coming of the Lord for His church, and the fulfillment of Israel’s prophetic destiny.”10

ユダヤ人の約束の地への帰還とイスラエルの建国は、聖書預言の成就です。

ユダヤ人の離散と帰還の歴史を通して、歴史を支配する神がおられることがわかます。

聖書には確かな預言のことばが記されています。聖書を書き記したのは預言者たちですが、真の著者は、天地を創造した神ご自身です。

参考資料

  • Arnold G. Fruchtenbaum, “The Valley of The Dry Bones: Ezekiel 37:1-14” (Ariel Ministries Digital Press)
  • アラン・ダーショウイッツ著(滝川義人訳)『ケース・フォー・イスラエル 中東紛争の誤解と真実』(ミルトス、2010年)
  1. Absolute proof for the existence of God,” Jewish Voice, 26 Sep 2018

  2. Expulsions and exoduses of Jews,” Wikipedia

  3. Timeline of antisemitism,” Wikipedia

  4. アーノルド・フルクテンバウム博士『ヘブル的キリスト教入門』(ハーベスト・タイム・ミニストリーズ、2016年)p.95 2

  5. アラン・ダーショウイッツ著(滝川義人訳)『ケース・フォー・イスラエル 中東紛争の誤解と真実』(ミルトス、2010年)p.36

  6. Mark Hitchcock and Thomas Ice, Breaking the Apocalypse Code (Word of Faith, 2007)

  7. Joel C. Rosenberg, “Israeli President Herzog declares the Jewish state’s rebirth in 1948 was a fulfillment of Ezekiel 37 – good for him – most Evangelicals believe this, but few Israelis talk about it,” All Israel News, 5 May 2022

  8. Joel C. Rosenberg, “Israeli President Herzog declares the Jewish state’s rebirth in 1948 was a fulfillment of Ezekiel 37 – good for him – most Evangelicals believe this, but few Israelis talk about it,” All Israel News, 5 May 2022

  9. アラン・ダーショウイッツ著(滝川義人訳)『ケース・フォー・イスラエル 中東紛争の誤解と真実』(ミルトス、2010年)p.50

  10. John Walvoord, Israel in Prophecy (Zondervan, 1962), p.26

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