ミカ3:9~12 ― エルサレムは破壊され、畑のように耕される

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ミカ3:9~12

9  これを聞け。ヤコブの家のかしらたち、イスラエルの家の首領たち。あなたがたは公正を忌み嫌い、あらゆる正しいことを曲げている。 10  流血でシオンを、不正でエルサレムを建てている。 …… 12  それゆえ、あなたがたゆえにシオンは畑のように耕され、エルサレムは瓦礫の山となり、神殿の山は木々におおわれた丘となる。 

解説

ミカは、紀元前700年前後に南王国ユダで預言を行った預言者です。上記の箇所でミカは、イスラエルの指導者の不正のために、エルサレムが滅びて瓦礫の山となることを預言しています。「シオン」は、エルサレムの中心部の名称で、エルサレムの別名です。

この預言の後、エルサレムは預言のとおりに二度の破壊を経験します。

最初の破壊は紀元前586年に新バビロニア帝国によって、二度目は紀元70年にローマ帝国によって行われます。ただ、「シオンは畑のように耕され、エルサレムは瓦礫の山となり、神殿の山は木々におおわれた丘となる」という描写が当てはまるのは、二度目のローマ帝国の時です。

ユダヤ教のタルムードによると、エルサレムがローマによって占領された後、ユダヤ暦のアブの月の9日に、ローマ人がエルサレムを鋤で耕したという記録が残っています。タルムードには次のように記されています。

…アブの9日に、われわれの祖先は聖地に入ることを禁じられた。この日に、第一神殿と第二神殿は破壊され、ベタルの町は奪われ、(エルサレムの)敷地は(畑のように)耕されたのだ。
ー “Tractate Taanit: Chapter 4” (https://www.jewishvirtuallibrary.org/tractate-taanit-chapter-4)

… on the 9th of Abh it was decreed that our ancestors should not enter the Holy Land; on that day the first and second Temples were destroyed, the city of Bethar was taken, and the site (of Jerusalem) was ploughed up (like a field).

ローマは、エルサレムの町を破壊した後、跡地にアエリア・カピトリナというローマ風の都市を建設します。このことを記念したコインが、紀元130年頃に鋳造されたハドリアヌスコインです。コインの片面には、ローマ皇帝ハドリアヌス(在位117年~138年)の像が描かれています。もう片面には、アエリア・カピトリナの建設を記念して、エルサレムを牛で耕している場面が描かれています。

ハドリアヌスコイン
ハドリアヌスコイン

MEMO
タルムードによると、紀元前586年に起きた第一神殿の破壊も、紀元70年に起きた第二神殿の破壊も、同じアブの月の9日に起きたと言われています。そのため、ユダヤ人は今でもアブの月の9日に神殿の破壊を覚えて断食をする習慣があります。この日は、現在では「ティシャ・ベ・アブ」(ヘブル語で「アブの月の9日」の意味)として知られています。

参考資料

  • Ray Coning and George Coning, 100 Fulfilled Bible Prophecies, 4th Revised Edition (Zealization Publishing House, 2022)
  • Ray Coning and George Coning, “Zion would be “plowed like a field”” (http://www.aboutbibleprophecy.com/micah_3_11.htm)
  • Charles C. Ryrie, Ryrie Study Bible, New American Standard Bible (Moody Publishers, 2012)

コインの写真:CNG coins (CC BY-SA 2.5)

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