カール・フォン・リンネ(Carolus Linnaeus、1707年~1778年)は、スウェーデンの博物学者で、「近代分類学の父」と呼ばれています。生物を体系的に分類する「二名法」を考案し、現在も使用されている学名の基礎を築きました。
> 創世記の「種」創世記の「種」
リンネが膨大な数の動植物を分類しようとした主な目的は、創世記に記されている動植物の「種類」の範囲を明らかにするためでした。たとえば、創世記1:12には次のように記されています。
12 それで、地は植物、おのおのその種類にしたがって種を生じる草、おのおのその種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ木を生じた。神は見て、それをよしとされた。
創世記では、動植物はすべて「種類」に従って創造されたと書かれています。リンネは、この種類が今も存在することを信じ、今ある動植物を分類しようとしたのです。
リンネは、動植物の種(specie)の中では変化が起こるが、ある種から別の種に変化することはない、と考えていました。つまり、「種の不変性」を信じていました。
> 神への賛美神への賛美
リンネの著作は、神への言及であふれています。リンネは次のように書き記しています。
人は創造主の驚くべき知恵に完全に圧倒されてしまいます。
私は無限の、全知全能の神の後を追う者です。…自然というフィールドで神の足跡をたどっていくと、いたるところに永遠の知恵と力、解明しがたい完璧さを見出すのです。
One is completely stunned by the incredible resourcefulness of the Creator.
I saw the infinite, all-knowing and all-powerful God from behind… I followed His footsteps over nature’s fields and saw everywhere an eternal wisdom and power, an inscrutable perfection. 1
天文学者のケプラーが、自分は「神の思考を後追いする者」であると言ったのと同様に、リンネも自分のことを「神の後を追う者」と語っています。
また、リンネは次のような神をたたえる詩を残しています。
ヤハウェよ、
あなたの御業はなんと豊かなのでしょうか
あなたはなんという知恵をもって造られたことでしょう
地はなんとあなたの所有物で満ちているのでしょうか
O Jehovah,
How ample are Thy works!
How wisely Thou has fashioned them!
How full the earth is of Thy possessions! 2
> リンネの生涯リンネの生涯
リンネの父は、ルター派の牧師で、園芸を趣味とする人でした。父親は、リンネが小さい頃から、自分が育てている植物の名前を息子に教えており、その頃から動植物に名前を付けることに興味を持っていったと言われています。リンネの生涯について、『Scientists of Faith(信仰を持った科学者たち)』という書籍では次のように言われています。
リンネは全世界のあらゆる種の目録を作ろうとしたが、それは想像をはるかに超える大仕事であった。リンネは世界を神の庭と考えていた。父の庭で植物に名前をつけたように、天の父のコレクションにも名前をつけようとしたのである。
Linnaeus intended to catalog every species in the entire world, a task more monumental than even he could have had imagined. He viewed the world as God’s private garden. Just as he had named the plants in his father’s garden, so he must name his heavenly Father’s collection. 3
> 参考資料参考資料
- Henry M. Morris, Men of Science, Men of God (Master Books, 1988)
- Dan Graves, Scientists of Faith (Kregel Publications, 1996)
写真:Afán por saber (CC BY-NC-ND 4.0)
[…] ジョン・レイ(John Ray、1627~1705年)は、英国の博物学者で、「英国博物学の父」とも呼ばれています。また「種(species)」という言葉を生物学的に定義した最初の人でもあります。カール・フォン・リンネの分類学に直接影響を与えた人物でもあります。ボイルとともに王立協会の創立メンバーの一人にもなっています。 […]
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