メル・ギブソン(俳優)「映画『パッション』の制作理由」

メル・ギブソン

 米国ABCネットワークの『プライムタイム・ライブ』という番組に、映画『パッション』の監督メル・ギブソンが登場し、司会者のダイアン・ソーヤーから質問を受けた。
 この映画に対するさまざまな批判(反ユダヤ主義的要素があるのではないか、歴史的な正確さに欠けるのではないか、イエスの生涯と死について不謹慎な描き方をしているのではないか)が取り上げられた。

 メル・ギブソンは、かなりの時間をかけてこれらの批判一つ一つについて答えていった。終わりのほうになって、質問は個人的な内容に入っていった。その時点で、ギブソンは自らの心を開き、キリストの物語がいかに自分の人生に変革をもたらしたかを語り始めた。そしてついに、この映画はイエスの最期を客観的に描こうとしたものではなく、イエスの生涯とメッセージによって人生が変えられたひとりの信者として制作したのだと語った。

 ある時点でギブソンは、「私は信じなければならないのだ」と発言した。
 とまどった司会者が、「信じなければならない?」と聞き返した。
 「そう、信じなければならない」
 「どうして?」
 ギブソンは強い語調で、表情を変えずにこう答えた。
 「希望を持つ者になるためです。生き続けるためです」

出典:中川健一『クレイ聖書解説コレクション「マルコの福音書」』(ハーベスト・タイム・ミニストリーズ、2017年)

写真:Georges Biard (CC 表示-継承 3.0)

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