ゼカリヤ9:3~4 ― ツロ没落の預言

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ゼカリヤ9:3~4

3  ツロは自分のために砦を築き、銀をちりのように、黄金を道端の泥のように積み上げた。 
4  見よ。主はツロを占領し、その富を海に打ち捨てる。ツロは火で焼き尽くされる。 

解説

旧約聖書のゼカリヤ9:3~4では、都市国家ツロの没落が預言されています。

ツロ(ティルス)は、紀元前2500年頃に建設されたフェニキア人の都市で、現在のレバノンに位置します。ツロは地中海の交易を支配する海洋国家として栄えました。古代のツロは栄華を極め、文化的にも、経済的にも、地中海で最も先進的な国家として知られていました。旧約聖書のエゼキエル27:12~24によると、ツロは現在のアルメニア、イラク、シリア、トルコ、イエメンなど、数多くの国と交易を行っていたと言われています。紀元前814年には、ローマと互角の戦いを繰り広げた都市国家カルタゴを建設しています。

ツロは、イスラエルとも交易を行っていました。ツロが最も栄えたのは、イスラエルのダビデ、ソロモン王の時代(紀元前11~10世紀)に統治したヒラム王でした。旧約聖書の1列王記5:1~12には、ソロモン王とヒラム王が行っていた交易と条約の内容が記されています。

ツロは、海岸沿いにある都市と、沖合の島にある都市の2つに分かれていました。島側のツロを守る城壁の一部は30メートル以上の高さがあったと言われ、難攻不落の要塞都市として知られていました。

このように栄えたツロでしたが、ゼカリヤの預言どおり、さまざまな国の侵略を受け、衰退の道をたどっていくことになりました。現在では、地中海一の都市として繁栄した面影はなく、周辺に小さな村と遺跡が点在するだけの場所となっています。

ツロの遺跡(アル・ミナー)
ツロの遺跡(アル・ミナー)

参考資料

アル・ミナーの写真:Heretiq (CC 表示-継承 2.5)

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